整理のこと

「もとを取りたい」という心理がお片づけを邪魔する(コンコルド効果)

お越しくださりありがとうございます。幸せ家族空間コンサルタントの藤井ふみ子です。

「モノが手放せない」「モノが捨てられない」

モノを手放せないということはお片づけの土台となる「整理」ができないということです。「収納」は得意なのに「整理」が苦手で片づけてもリバウンドしてしまう方も多いですね。

「整理」が苦手な原因はさまざまですが、今日は、その中のひとつ、「元を取りたい」と思う心理についてお届けしたいと思います。

コンコルド効果って?

「埋没費用効果 (sunk cost effect)」

ある対象へ金銭・精神・時間をそれまでに費やしたことで、『投資をしつづけることが損失につながる』とわかっているにもかかわらず、それまでの投資を惜しみ投資がやめられない状態。

別名を「コンコルド効果」といいます。

1960年代に開発されていた超音速旅客機コンコルド。採算が取れないと明白になった後も「費やしたものを無駄にしたくない!」とコンコルドの開発を途中でやめることができず、結果、巨額の赤字を出して開発会社は倒産しました。

投資したものが多すぎて、そして、そこに意識がいきすぎて続けても成果がでないのに「損切り」できなかったんですね。

お片付けに当てはめて言うと…あなたのお家にありませんか?こんなモノたち…

  • 高かったけどあまり着ていない服
  • 趣味が変わったから今は出番なしの、数回しかつけてないアクセサリー
  • 子どもの学習教材

つまり、持っているだけで使っていないそんなモノたちです。

モノを所有する対価

モノを所有するときに投資しているのは「購入時のお金や時間だけ」と思いがちですが、実は、所有し続けることでも様々なことを投資しています。

  • 置いておくスペース(空間)
  • 他のモノを取り出すときに発生する余計な動作(アクション)
  • 掃除のときに移動させる手間
  • 「使ってないけど捨てられない」というストレス

これらを日々、「元を取ってない」と手放さずにいるモノに対して払っているんです。

当然、使っていないモノたちは、あなたの人生の役に立っていません。

「所有し続ける=損失を重ねる」と解っているのに、「もったいない」と思って手放せないんですよね。

もちろん、この心理的現象、名前がついているだけあって、誰の心の中でも起こります。


なので特別に「悪いこと!」というわけではありません。

めっちゃ『お片づけあるある』です!

でも、お片づけをして、お家をスッキリさせたいですよね。
一体どうしたらいいのでしょうか?

お片づけで大切なのは、自分の心で起こっていることを自分で気づいて、認めて、自分の望む未来につながる行動を探し選び、決断し、行動することです。

いくつか対処法をご紹介しますね。

対処法①未来を考える

旅客機コンコルドのこと、こう思いませんか?

「なんで誰も気づかなかったねん」って(笑)

「損失が出るってわかってるのに、なんで突き進むねん」とか。

巨大な企業ですから優秀な人が集まっていたと思います。きっと、会社外にコンサルタントもいたでしょう。「やめましょう」と提言する人もいたはず。

それなのに、倒産するまで開発する方向に舵をとってしまった。

ここに「元を取ってない」という気持ちの怖さを感じますよね。

もし、どこかで

「今ここから収益を上げられる事業か検証する」

と未来にフォーカスする視点で立ち止まれていたら、赤字が膨らむ前に中止でき、倒産もしなかったかもしれませんよね。

過去に起きたことは変えられません。

今、あなたの目の前にある、「元を取れていない」と感じるモノ。

それは、これからの暮らしであなたに必要なものですか?

それは、あなたを幸せにしてくれるものですか?

その手にある「モノ」は、あなたの幸せな人生に必要な「何か」を生み出すことができますか?

こういった視点で、見つめてみてください。

あなたのお家を整えるためのお片づけ。要か不要か判断するのは、買った時の過去のあなたではなく、未来に向かう今のあなたです。

対処法②失敗のままで終わらせない

「元をとっていない」というのは、つまり、あなたが「使い切ったと感じていない」状態ではないでしょうか?

モノは使うために所有するわけですから、使わないモノを買ってしまったというのは、ざっくり言うと「失敗」です。

この「失敗」に目を向けてみましょう。

  • こんなはずじゃなかった!
  • もっと使う予定だった!
  • お金の無駄遣い!?…まさか!

という、自分の失敗や否を認めたくない気持ちから、「いつか使う」という理由をつけて捨てられない方も多いです。「元を取っていない」と「いつか使う」はほとんど同じ。

「失敗した」と感じるのは自分自身です。そこに蓋をせずに「失敗した自分」を受け入れてみましょう。

「失敗は成功の母」ともいわれますよね。でも、学びを得ることができるのは「失敗した自分を認める」をクリアしてから。

「あ、私には合わなかったんだ~」
「使ってみて初めてわかった!次に活かそう」
「検討が足りなかったのかも!」

失敗をしたからこそ学べたこともあるはずです。「買ったけど使いきれなかったモノ」もあなたの幸せな未来をつくる礎に変えていけるといいですね。

お子さんがいる方なら、子どもが買い物に失敗したときに、子どもにどんな言葉をかけますか?

子どもが前向きになって成長につながる一言は、どんな言葉でしょうか?

その優しい一言を、あなた自身にもかけてあげましょう。

対処法③「もと」って何?

「もと」って何?

というお話です。

食べ放題ビュッフェなどの「元を取った、取らない」の場合は材料の原価と支払う料金の話のことが多い気がしますね。

これ、お気づきでしょうか??

仮に「もと」が材料の原価だとすると、「元を取った、取らなかった」をジャッジする基準が自分以外の部分にあるという状態です。

「価格←→自分の満足」ではなく、「価格←→材料の原価」。後者は、どこにも「自分」がありませんよね!

当ブログでもよくお伝えしていますが、お片づけに必要不可欠なのが「自分軸」です!

お片づけの場合の「元(もと)」はどうでしょうか?

一体、何と何を比較して、何を基準に、「元」となるものを定めているのでしょうか?

もちろん、着るつもりで着なかった服は「身にまとって体を守る」も「衣服を使って自己表現する」もできていません。でも、対処法②のように失敗を活かせたらモノの本質とは違う部分ですが得るものはあったということになります。

1つのモノを凝視するのではなく、大きな視点で

何のために買ったのか?
何を得られると思って所有しているのか?
「自分軸」で考えられているか?

を考えてみるのもいいかもしれませんよ。

過去の投資に執着して手放すことができない「何かを得るつもりだったモノ」を持ち続けることで時間的・経済的・空間的な損失を出していることは多いですが、手放すことで得ようとしていた「何か」を得ることができる時もあります。

  • 自分の時間だったり
  • ゆとりがあるお部屋だったり
  • 勉強に集中できる環境だったり
  • オシャレしてアップする自信だったり
  • 家族とおしゃべりする楽しさだったり。

「元がとれていない」「いつか使う」という気持ちからモノを手放せない人は、「元を取る」の「元(もと)って何?」も考えてみてくださいね。

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